小説

船に乗れ! 2 独奏

藤谷治『船に乗れ!(2) 独奏』ジャイブ,2009 シリーズ感想 藤谷治さんの作品感想 南にオペラを楽しんでもらおうと試行錯誤する姿が初々しくて、男の子してるなーという甘酸っぱい感触のシリーズ2巻目。傑作です。 「魔笛」はへんてこりんな話でしたが、音楽…

さまよう刃

東野圭吾『さまよう刃 (角川文庫)』角川グループパブリッシング,2008 東野圭吾さんの作品感想 レイプまがいのことを何度も行っていたグループに娘が狙われ、殺されてしまった父親が復讐を願う話。これを原作にした映画も公開されます。 出だしからしてため息…

幸福ロケット

山本幸久『幸福ロケット』ポプラ社,2005 山本幸久さんの作品感想 平凡な名前だからと自分の名前を好きになれないでいる、転校したばかりの小学生・山田香な子の話が描かれています。seiitiさんの感想を読んで手にとりました。 そんな香な子が、クラスのお嬢…

サマーウォーズ

岩井恭平『サマーウォーズ (角川文庫)』角川書店,2009 岩井恭平さんの作品感想 夏希先輩からアルバイトに誘われ、先輩の実家に連れて行かれ、婚約者のフリをしなければいけなくなってしまい……という夏の物語。 仮想空間の説明中も映像が頭の中で流れていたの…

偽物語 下

西尾維新『偽物語(下) (講談社BOX)』講談社,2009 シリーズ感想 西尾維新さんの作品感想 最初のつらつらとした長い語りを読むと、ああ化物語だなぁと世界を認識できます。シリアスに語っといてアホでくちゅくちゅな話に突入するのも、このシリーズならではの…

デセプション・ポイント〈上〉

ダン・ブラウン『デセプション・ポイント〈上〉 (角川文庫)』角川書店,2006 ダン・ブラウンさんの作品感想 父親が大統領の対抗馬であり、自身は国家偵察局に所属しているレイチェルが大きな陰謀に巻き込まれていく話。初っ端から普通じゃない組織の暗躍が合…

恋文の技術

森見登美彦『恋文の技術』ポプラ社,2009 森見登美彦さんの作品感想 拝啓。もう七年が経ってしまいました。お酒の勢いを借りた人生初の告白が、こんなにも長く続いてしまうなんてオモチロイですね。次の日に会った際の、あの告白はなかったことに発言は消し去…

帝都たこ焼き娘。―大正野球娘。〈3〉

神楽坂淳『大正野球娘。―帝都たこ焼き娘。 (トクマ・ノベルズEdge)』徳間書店,2009 シリーズ感想 神楽坂淳さんの作品感想 大正時代を舞台に女子たちが野球をするシリーズ3巻目ですが、今回は野球なしです。同じ丸いものでもたこ焼きです。 メインの話として…

エバーグリーン

豊島ミホ『エバーグリーン (双葉文庫)』双葉社,2009 豊島ミホさんの作品感想 文化祭で寄せ集めバンドを結成するも、自分の突っ走りのせいで瓦解させてしまうシンと、落ち込む彼を応援し後押しする、おっとりとした田舎っぽい雰囲気を持つ熱情家のアヤ。そん…

ぼくは落ち着きがない

長嶋有『ぼくは落ち着きがない』光文社,2008 長嶋有さんの作品感想 中学生のとき、別のクラスの名前も知らない女の子から呼び出されるという出来事がありました。ただちょうどそのとき私は教室を出ており、女の子が呼びに来たよという話を聞いただけで。 行…

1/2の騎士 harujion

初野晴『1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)』講談社,2008 初野晴さんの作品感想 弓道部の部長で人気もあるマドカと、副部長でプライベートも影から支える実力者の加奈子。弱小部だった弓道部をさらに成長させようと、地道に基礎を固めようとする加奈子が…

九十九十九

舞城王太郎『九十九十九 (講談社文庫)』講談社,2007 舞城王太郎さんの作品感想 生まれた瞬間に奪い合い、失神する女性の群れを作り出す美貌の持ち主・九十九十九の物語。sskr31さんの感想を読んで手にとりました。どんなものからインスピレーションを得たん…

wonder wonderful 上

河上朔『wonder wonderful 上 (レガロシリーズ)』イースト・プレス,2008 河上朔さんの作品感想 妹のひなたを追っかけて、ファンタジーな世界にやってきたこかげが、思いも寄らない言葉を投げつけられ戸惑います。 異世界のせいでかみ合わないのかと思いきや…

桐原家の人々〈3〉恋愛統計総論

茅田砂胡『桐原家の人々〈3〉恋愛統計総論 (C・NOVELSファンタジア)』中央公論新社,2000 シリーズ感想 茅田砂胡さんの作品感想 複雑な分だけ家族のパワフルさにも磨きがかかってきたシリーズ3巻目。 麻亜子と崇史のバーの描写で、まったく動じてない麻亜子…

天使と悪魔 下

ダン・ブラウン『天使と悪魔 (下) (角川文庫)』角川書店,2006 シリーズ感想 ダン・ブラウンさんの作品感想 イルミナティの陰謀を巡る物語もついに最終巻。上巻では科学の世界にどっぷりつかり、中巻では芸術家たちが仕掛けた暗号を追いかけました。 今回は大…

秘曲 笑傲江湖 4

金庸『秘曲 笑傲江湖〈4〉天魔復活す (徳間文庫)』徳間書店,2007 シリーズ感想 金庸さんの作品感想 魔教の向門天と一緒に行動しているのですが、連れて行かれた先は書や碁、酒を嗜む人たちがいて……と序盤から引き込まれるシリーズ4巻目。 はったりを十分に…

首無の如き祟るもの

三津田信三『首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)』原書房,2007 三津田信三さんの作品感想 本書は、代々栄えてきた旧家とそこに降りかかる災いをベースに、不可思議な2つの体験、事件を小説にするという形式の物語です。 旧家に仕えていた人物とその地…

天使と悪魔 中

ダン・ブラウン『天使と悪魔 (中) (角川文庫)』角川書店,2006 シリーズ感想 ダン・ブラウンさんの作品感想 時間制限があり協力も得られない中で、古の暗号に挑むラングドンとヴィットリアの動きにハラハラします。物語の速度は速くなってきました。 カラーの…

モダンタイムス

伊坂幸太郎『モダンタイムス (Morning NOVELS)』講談社,2008 シリーズ感想 伊坂幸太郎さんの作品感想 仕事から帰ると見知らぬ男から拷問にかけられる拓海の話。モーニングで連載されていた作品です。挿絵も収録した特別版もあります。 犬養首相や安藤兄弟が…

儚い羊たちの祝宴

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』新潮社,2008 米澤穂信さんの作品感想 身分の高い人が集まる読書会「バベルの会」が登場する、ラスト一行にこだわった様々な短編小説が収録された本。 お嬢様の秘密の本棚を覗いてしまう使用人・夕日の視点で描かれる、屋敷での…

もうすぐ

橋本紡『もうすぐ』新潮社,2009 橋本紡さんの作品感想 ネット新聞の記者の由佳子と主夫の哲也の会話など、何事もない日常がとてもまぶしく見える光景はいつも通り素敵。また、哲也の存在や猫や料理の描写があるので、いつもの橋本さんの小説です。 でも、こ…

ラブコメ今昔

有川浩『ラブコメ今昔』角川グループパブリッシング,2008 有川浩さんの作品感想 自衛隊のラブコメ集の第2弾。「ラブコメ今昔」空挺部隊の陸佐・今村が、新任の広報幹部・千尋に結婚談を語って欲しいとせがまれる話。 相当なおっさんだし立派な地位にもいる…

聖女の救済

東野圭吾『聖女の救済』文芸春秋,2008 シリーズ感想 東野圭吾さんの作品感想 苦しさがぽろっと出てしまったような女性の言葉に、先の暗さを予感させられました。湯川先生が登場するシリーズの長編。毒殺された男を巡る、妻やその弟子そして草薙たちの話です…

天使と悪魔 上

ダン・ブラウン『天使と悪魔(上)』角川書店,2003 シリーズ感想 ダン・ブラウンさんの作品感想 ダ・ヴィンチ・コードでも主人公だった、宗教象徴学を専門とするラングドン教授が主人公のシリーズの1作目。映画も公開されたようです。ハーヴァード大学の教授…

レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿

太田忠司『レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (カッパ・ノベルス)』光文社,2006 太田忠司さんの作品感想 オルゴールの修復師・レストアである鋼が、修復を依頼されるオルゴールを通して、音がずれて不協和音を奏でている人間関係にも踏み込んでいき…

秋期限定栗きんとん事件〈下〉

米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)』東京創元社,2009 シリーズ感想 米澤穂信さんの作品感想 必死に連続放火事件を追う新聞部の瓜野とぼちぼち後をたどってる小鳩くん、小柄な体を活かして隠れつつ二人を追い詰める小佐内さんの物…

告白

湊かなえ『告白』双葉社,2008 湊かなえさんの作品感想 中学校の先生である悠子が、最後に受け持った生徒たちへと、教員を辞めることを告げるシーンから始まる物語。本屋大賞などを受賞しています。 淡々とした話し言葉で綴られており読みやすいのですが、娘…

“本の姫”は謳う 3

多崎礼『“本の姫”は謳う〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)』中央公論新社,2008 シリーズ感想 多崎礼さんの作品感想 セラがしゃべり始めてから賑やかさも倍増した、スペル収集の旅を綴ったシリーズ3巻目。表紙を飾っているセラですが、「乙女の一世一代の告白を…

別冊 図書館戦争 2

有川浩『別冊 図書館戦争〈2〉』アスキーメディアワークス,2008 シリーズ感想 有川浩さんの作品感想 検閲に対抗する図書隊の日々を描いた図書館シリーズも最終巻。雑誌に掲載されていた緒形副隊長の過去の話などが収録されている短編集です。 最初は緒形副隊…

荒野

桜庭一樹『荒野』文芸春秋,2008 桜庭一樹さんの作品感想 おっちょこちょいな女の子・荒野の恋を巡る物語。既読分の感想はこちら。 荒野は「お駄賃!」と叫んだり、捕まえられて「ぎゃー!」と吠えたり、かと思えば「このうち全体が、ずっと、吊橋みたいに揺…