“本の姫”は謳う 3

“本の姫”は謳う〈3〉  Amazon
ファンタジー4燃える3コミカル3
多崎礼“本の姫”は謳う〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)中央公論新社,2008
シリーズ感想
多崎礼さんの作品感想
セラがしゃべり始めてから賑やかさも倍増した、スペル収集の旅を綴ったシリーズ3巻目。表紙を飾っているセラですが、「乙女の一世一代の告白を台無しにしやがりましたわねっ! このスカタン人形っ!」これまでの寡黙だった姿と、現在のひどく汚い言葉遣いにギャップがあって惹かれます。
語尾は丁寧系なのが余計におかしさとかわいらしさを誘いますね。周知の事実である乙女の秘密が、ばらされそうになったときの反応が特によかったですよ〜。これまで築き上げてきた、ミステリアスな雰囲気をかなぐり捨てたかいがあったというものです。


そんなセラとのことを始めひと悶着あるかと思いきや、アンガスとウォルターは意外に穏やかでした。軽口だったり冷やかしだったりたまにシリアスだったりしますが、二人の会話の応酬を素直に楽しめましたよ。
聖域の話では開戦し、流れが鬱々になってきました。前回の引きから切ない感じになりそうなのは想像していましたが、どうにかならんものでしょうか。リグレットとアザゼルの二人には幸せになってもらいたいのです。
なので、離れ離れになり敵に囲まれ絶体絶命の場面で、来世には叶うように願い事を宣言するシーンは、アザゼルが決心を表明したときはグッときました。……みんなかっこつけやがって。


実にいいところでお話が終わってます。次で最終巻であり、本や姫に関する謎などがどんな風になっていくのか今から楽しみです。遺跡に発掘しに行かずとも本を読めるなんて、幸せな世の中ですね。