レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿

レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿  Amazon
癒し4ミステリ3シリアス3
太田忠司レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (カッパ・ノベルス)』光文社,2006
太田忠司さんの作品感想


オルゴールの修復師・レストアである鋼が、修復を依頼されるオルゴールを通して、音がずれて不協和音を奏でている人間関係にも踏み込んでいきます。ひどく落ち着いたゆっくりとしたペースで展開されるお話です。
オルゴールは好きなんだけれども、ディスク式とシリンダー式のものがあることを覚えている程度の知識だったので、オルゴールに関する話題も面白かったです。これ前にも書いたか。
音が出る仕組みを始めとして、部品一つ一つを通してみた構造だったり、オルゴール製作会社の歴史に関する話も多かったかな。もちろん、ずばり演奏される曲についての話ありました。


記憶の中の曲とまったく違う曲が流れ出すオルゴールの修復だったり、あるいは師匠が残したオルゴールの謎に巻き込まれていくことになります。日常の謎が好きな私には直球ど真ん中のストーリーです。
とはいえ、タイトル以上にミステリが強調されているわけではありません。ただ、関わった人との出来事を通して自らが奏でる音に耳を傾けていく過程は悪くないです。鋼の精神状態を考えると特にね。


この感想文を書きつつ、プレゼントされたものや自分で購入したもの、あるいはCD媒体のものなどを聞きました。高い主旋律のイメージしかなかったけれども、改めて聞くと低音部分が意外にしっかりしていました。
少なくとも一週間は、オルゴールの曲を聞いてから寝ることにしたいと思います。そんな気持ちになりました。では、今日はこんなところで


この小説が好きな人にお勧めする3
1 維納音匣の謎 祥伝社文庫   Amazon2 七つの海を照らす星  Amazon3 暁天の星―鬼籍通覧  Amazon
1、太田さんの小説「霞田兄妹 シリーズ」オルゴールがキーになる事件も登場します。→シリーズ感想
2、七河迦南さんの小説『七つの海を照らす星』児童養護施設を舞台にした日常の謎を巡ります。→感想
3、椹野道流さんの小説「鬼籍通覧 シリーズ」コミカル度も高いですが人間の闇にも迫ります。→シリーズ感想