さまよう刃

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シリアス8ミステリ2
東野圭吾さまよう刃 (角川文庫)角川グループパブリッシング,2008
東野圭吾さんの作品感想


レイプまがいのことを何度も行っていたグループに娘が狙われ、殺されてしまった父親が復讐を願う話。これを原作にした映画も公開されます。
出だしからしてため息をつきたくなりますね。娘を心配するシーンは見ていて本当にやるせなかった。復讐の話である以上、あまりに変えられない未来ですから。なんだかなぁ。父親が見てしまったシーンは気分重いです。
そうそう、復讐といっても、どうやって復讐していくのかと思っていたら、なるほどこういう風だっったのね。納得です。


警察側も人の子ということで動揺が描かれていたり、あるいはあるきっかけで知り合った女性の視点が混ざっています。全体的にもやもやした感じで進んでいき、激情による復讐一直線という感じではないです。
中盤レイプ被害にあいそれを苦にして自殺した娘の父親も登場します。彼の咆哮の場面で心の痛みが復活しました。……逆を言えば薄れていたか。


雑誌記者と弁護士との茶番のやりとりなどは、被害者の立場が余計あやふやになっていました。あっけらかんとした最近の娘のような雰囲気の子もいるわけで、思惑は様々。
報道関係の人たちがレイプと盛んに言っているのが気になりました。こういう言い方しないと思うんだけれども……犯人たちの親の言葉と対比でしょうか。息子を弁護する母親の言葉では優しい言い回しになっていますし。


今回の感想は特に客観的に書こうと努めて変な感じに。共感して、考えたりするべきなのだろうけれども、私にはできませんでした。辛すぎる。


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