天使と悪魔 下

天使と悪魔 下  Amazon
燃える6ミステリ4
ダン・ブラウン天使と悪魔 (下) (角川文庫)角川書店,2006
シリーズ感想
ダン・ブラウンさんの作品感想
イルミナティの陰謀を巡る物語もついに最終巻。上巻では科学の世界にどっぷりつかり、中巻では芸術家たちが仕掛けた暗号を追いかけました。
今回は大きな人質をとられ危機に陥った教会側が反撃に出るため、ずばり宗教が前面に出てきます。堅苦しいかたちではなく、真摯に胸に迫る言葉で語られているため分かりやすく、興味が掻き立てられます。
前回同様、ラングドン教授が体を張ってますね。けっこうなタフガイですよ。最後のオチとあわせて、古きよきアメリカっぽさが漂っています。


時刻が迫りくる中、次々出くわす暗号は解けどもイルミナティの目的がさっぱり分からないし、囚われの身のヴィットリアの安否も気になるわけで。
また不審な行動をとるセルンの所長に、衛兵隊の中にもおかしな行動をするものが現れてと、加速していく展開が面白く一気に読めてしまいます。


内通者が分からない中で、宗教対科学の落とし所を探すカメルレンゴの独白、叫びに圧倒されてしまいました。教会はずいぶんと追い詰められていたのに、こんな逆転の秘策があるとは想像していませんでしたよ。
言葉の応酬が迫力満点です。どちらの立場も確固たる意思があり力強い。科学に対する、教会側の訴えにはついつい引き込まれてしまいます。信仰って強い生き物だなと感じさせられました。


犯行に至ったすれ違いとか切ないなー。どんでん返しがいくつか仕掛けられているし、こんなに興奮する話が読めるとは、正直予想していませんでした。お話として、ダヴィンチコードよりこっちのほうが楽しめました。