サマーウォーズ

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燃える4コミカル3癒し3
岩井恭平サマーウォーズ (角川文庫)角川書店,2009
岩井恭平さんの作品感想


夏希先輩からアルバイトに誘われ、先輩の実家に連れて行かれ、婚約者のフリをしなければいけなくなってしまい……という夏の物語。
仮想空間の説明中も映像が頭の中で流れていたので、展開を把握しやすかったです。映像と小説で、ざっくりした印象は一緒なのだけれども、やはり違いがありました。映像だと大家族を理解するのが楽でしたね。
小説を読み終わった今でも名前と顔が一致はしないんだけれど、小説だけ読んでたら、人数が多すぎてなにがなんだかきっと分かりません。
狙ってるのでしょうが、文字媒体の限界ではありますよね。逆に小説だと何気ない動作や風景にも、少しの文章で意味づけが出来るから面白い。


ときどき夏希の心情が吐露されていたので、群像劇だなと再確認。その分、夏希の時代錯誤っぷりも強まっていたかな。雑誌に書いてあることを信じてしまうなんて細かな描写にキュンときましたよ。
健二がオリンピックにかけていた思いを知ることができたのも、大きな収穫でした。そうそう、映画だと健二の解答にはミスがあったんだよなんてフォローがありましたが、小説版のがすっきりしてるかな。


映像でも小説でも変わらないのが、おばあちゃんの偉大さです。見せ場は何回かあるけれども、おばあちゃんが静かに奮闘するシーンはいい。また、クライマックスの見せ場は、怒涛の勢いで流されるのが心地よいです。
最後は茶番に変化してましたね。あれはあれで健二と夏希らしくてお好み。映画が好きだと、やっぱり小説も好きになりますね。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 サマーウォーズ  Amazon2 ムシウタ 01 夢みる蛍  Amazon3 いつか猫になる日まで  Amazon
1、映画『サマーウォーズ』男の子ごころの持ち主は必見です。→感想
2、岩井さんの小説『ムシウタ〈01〉夢みる蛍』あがき続ける人間ってある種綺麗ですね。→感想
3、新井素子さんの小説『いつか猫になる日まで』小さな小さな宇宙戦争。→感想