ニート

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癒し10
絲山秋子ニート (角川文庫)角川グループパブリッシング,2008
絲山秋子さんの作品感想



上から目線になりたくないけど、接しようとすると立ち位置に迷ってしまう相手・ニートがテーマ。KeiKomoriさんの感想を読んで手にとりました。この本に出てくるニートは慣れることが得意みたいです。「どうやって早く慣れようかとそればかり考えていた」慣れると安心を得ることができます。


ただ、書くことの楽しさだったり、ルームシェアの興奮を忘れてしまった女性が印象的でした。慣れることが得意なのに、それをくだらないと思ってしまうと変な方向に走ってしまいます。ニートを援助したりアブノーマルな行為などインパクトのある行動で刺激を与えるのです。
でもわざわざ刺激的なことをしなくても、見方を変えれば日常にも面白いことがたくさんあると思う。常に考え自分の不意を意図的につけるようになれば、電車のアナウンスやカエルの詩にさえ意味があるわけで。
物事を細かく見るのは楽しいです。小説書いてる時も、流れるように書いてる時より、くだらない句読点の有り無しを考えているほうが楽しい時だってあります。哲学じゃないけど、考えるという行為に限界はない。


読み終えて、見慣れたものでも新しい発見を探してこと、不意を打つことが大切だと思いました。だってなんか、環境が崩れるのが怖くて動けなかったり、曖昧な気持ちでも関係を結ぶことができたり、慣れるって怖いから。もっと我侭に、もっと執着心をもって動いてみたい。
ニートって単語はフリーターなどとよく並んで見ます。でも、優しい人・頑固な人・明るい人・ニートな人なんて並べることができるかも知れませんね。


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