青い鳥でも宮部さんは宮部さんシリアスxミステリ


宮部みゆき今夜は眠れない (講談社青い鳥文庫)講談社,2006   類似検索


青い鳥の宮部さん二作目。ある一家が突然五億円を手に入れてしまう話です。どうして五億円が手に入ったのかを中学一年生の主人公・雅男が友人の島崎とともに探ります。
こりゃすごいな。これを青い鳥に持ってきたのがすごい。確かに謎解きは難しすぎて分からないとかいうタイプじゃないからいいけど、話的にけっこう深刻な問題も扱ってるので。同じく青い鳥文庫の『ステップファザーステップ』(→感想)も軽すぎるテーマではないもののコメディ色が強かったのですが、今回はシリアス分が増えてます。五億円が手に入っちゃった、という明るい設定からは想像していなかった展開になるのでギャップがきついのです。軽めですが修羅場とかもあり、何気にヒヤヒヤしますよ。
考えてみると子供向けでお金を扱う話だと、「お金がなくても幸せになることができました」ってのが多い印象だけれど、お金ができて不幸になりましたって話は少ないような。感情移入している主人公が不幸になったりしたらだめですか。まあなんだかんだ言っても、青い鳥で出し小さい子が手に取りやすくなったのはよかったように思います。小さい子を意識して書かれた作品のようにも思いますしね。
元々この作品は1998年に刊行されているので、その時点と現在で変更があった点は括弧書きされています。宝くじの上限額とかです。でも、一番変わったと思うのは最後の警部さんの言葉だなーと。今じゃ考えられません。(涙)