さすが乙一さんの仕事じゃミステリxヒート


乙一銃とチョコレート (ミステリーランド)講談社,2006


子供に向けて書かれたミステリーランドの作品。他のミステリーランド作品もそうですが、ひらがなが多いことをのぞけば子供だけじゃなく大人も楽しめます。移民の子であり貧しい生活をしているリンツが、世間を騒がせている怪盗ゴディバの宝物の隠し場所を記した地図を見つけてしまい、名探偵のロイズと共に宝の在り処を探しに行く話。
子供が憧れの名探偵と旅にでるというだけの単純な構図ではなく、ニュースで報道されているロイズとは違った姿が見えてくるなど、ただの冒険話としては終わりません。中盤以降の展開は二転三転。かなり黒いところを見せつつも、押さえるところは押さえてしっかり冒険活劇してるところがうまい。
脇を固める、移民を見下しているドゥバイヨルやリンツのお母さん、祖父も魅力的です。色んな意味でおいしいとこどりなドゥバイヨルや熱い血が流れている祖父もなかなかですが、一押しなのがお母さん。序盤はたくましく生きているイメージしかなかったのですが、「すてなさい!」とか「しんぱいしていませんし、かえってこなくてもいいです。」など緊張感をぶち壊さない程度に笑わせてくれます。もちろん笑いの要素だけではなく、最後のリンツとの対話場面なんかも印象的。とても面白かったです。
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