狼と香辛料 12

狼と香辛料〈12〉  Amazon
燃える4癒し3コミカル3
支倉凍砂狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2009
シリーズ感想
支倉凍砂さんの作品感想
最初は主語が省かれた描写が続いていて、新鮮でした。シリーズ12巻目と長く続く旅路ですが、これまで見せてくれなかったものがまだまだ出てきます。付き合いの楽しみが尽きることはありません。


人によってまちまちでしょうが、私は見栄を張らずにくだらない会話ができるところが、カップルのよさだと思うんですよね。ただへたすると、ずっと甘いだけの時間を過ごしたり、気を抜きすぎると相手に愛想つかされるわけで。
敵対している相手だったり商売相手とは違う部分で、気持ちを察知する力が必要になるかと。そういった辺りが、金儲けでは温められない部分に繋がるんでしょう。もちろん、寄りかからなければ温まりませんよ。
相手が何を求めているのか分からないと、旅を続けるのは難しいんだろうな。住むところも職業も違う人たちとの触れ合いつつも、そんな二人だけの時間を垣間見ることこそ、ラブ馬車の醍醐味。


今回はとある村の天使の伝説を巡る話に関わってきます。ミステリアスな銀細工職人・フランもなかなか味のあるキャラクターですね。
目的に向かう覚悟をフランに問われた場面が印象的です。最終的な目標とロレンスの欲が同じ方向を向いていたので、決断を先延ばしにできたのですが、そろそろ天秤にかけるときがやってきたようです。
最近の感覚からすると、感情を置いて目的達成に努めることが美徳とされるような気がしますし、事実ちょっと前までだったら私も目的優先で動いてましたが、違うかなと考えるようになりました。答えはないでしょうが。