狼と香辛料 11 Side Colorr2

狼と香辛料 11 Side Colorr2  Amazon
癒し4恋愛4燃える2
支倉凍砂狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2009
シリーズ感想
支倉凍砂さんの作品感想
中編と短編2作が収録されたシリーズ11巻目で2つ目の短編集。
狼と黄金色の約束」相変わらずホロの手のひらで転がされるロレンスの話。おいしい料理とビールを出され、さらにはおいしい儲け話と出くわしたにも関わらず、ホロが不機嫌なことに戸惑うロレンスがいいですね。
こういうとき、男はオロオロするしかありません。まあ、素直に謝れるところは美点だと思いますよ。その見返りにか、「そう……きっと二人分」みたく、距離を測るかのようなホロの絶妙な甘えも、強くなってきていますね。
狼と若草色の寄り道」ホロとロレンスが寄り道をする話。なので、すごくまったりした空気が流れています。そんな中で二人の会話が続くのですから、シリーズ中1番の甘さになるのも仕方のないことです。みなさん一緒に悶え苦しみましょう。ゴールはまだまだ先です。


黒狼の揺り籠」のちにエーブと名乗るお嬢様・フルールのお話。どこまでも冷静にリスクをとるエーブとフルールの姿が重なりません。商人見習いといった感じで、頼りになるオーラーにはダメだしばかりされています。
家を出た貴族のミルトンの儲け話に乗るのですが……気を張りつつも、茶目っ気ある性格に翻弄されるフルールがかわいらしくもあり心配でもあり。
商いとは長く続いてこそのもの」というオーラーの忠告と「貪欲なくせに、ひどく謙虚」という、商人に対するフルールの感想が印象的でした。
それにしてもこの結末はやりきれない。端々の文章から嫌な未来は確定なのだけれども、落ちる先は一段下ではなく、二段も三段も下ですから。