古処誠二遮断』新潮社,2005


戦時下の沖縄で離れ離れになってしまった赤ちゃんを捜し求める話。どこをさがしても甘い要素が感じられません。もちろん、簡単に見つかるはずもなく、障害が立ちふさがります。アメリカ軍の攻撃だけでなく友軍でさえも助けにならない状況での物語なわけですから。誰が味方なのか分からなくなります。
富士山を遠くから見るときれいだし、でも近くで見るとあんまりきれいじゃない。住んでいる町を普段きれいとは感じていないが、富士山から見下ろすと町もきれいに見える。途中で出てくる富士山の話が簡潔な言葉で核心をついているように思いました。いろんな意味が込められているようです。
最後はミステリっぽい締めくくり方。いや、古処さんが書かれているからそんな風に感じるんでしょうか。でも、この後味はミステリっぽい気も……?
戦争なんてもう昔の話。そんな風に情報を遮断しちゃまずいんだと気づきました。考えるのが面倒でこういう固い問題からは自分自身遠ざかっていましたからねえ。


③ 亡国のイージス② となり町戦争① ルール
この小説が好きな人にお勧めする③
①古処さんの『ルール』戦争に関心を寄せているんでしょうね。→感想
②三崎亜紀さんの『となり町戦争』現代版の戦争。→感想
福井晴敏さんの『亡国のイージス』映画にもなった自衛隊の話。→感想