この路線を続けて欲しいな〜ラブxミステリ


岩久勝昭『うれしの荘片恋ものがたり ひとつ、桜の下 (富士見ミステリー文庫)富士見書房,2006   類似検索


ごとPさんの表紙イラストに惹かれて買ってしまいました。富士ミスが二ヶ月連続で送る初体験プロジェクトの一つ。うれしの荘を舞台に主人公の直志が日常の謎を解いていく話。ああ〜、先にやられた。ラノベのミステリには日常の謎が合うと思っているので、今年富士ミスに応募しようと企んでいたのに。まあ、私が読んでいないだけで、すでに富士ミスから出版されていたものがあるかもしれませんけどね。というわけで、話の骨格的にはもろ私の理想で文句なしです。さらには、挿絵はごとPさんですし。
舞台となるうれしの荘はスーツに木刀という奇抜なスタイルの寮長(直志の姉)をはじめ、寮生たちもゴスロリやらチアやらでみんな個性的。ちなみに主人公の性格は帯の一文「僕は、君という名の謎を解く。」で端的に現されているかと。
そんな直志は、うさぎのぬいぐるみが勝手に移動した理由やなぞなぞっぽい暗号を推理します。謎が提示されると同時に、テンポ良く解決していくのでミステリ分としてはわりと軽めかな。で、印象面が押し出された文章でリズム重視です。桜ってはかないイメージが付きまといますしね。
時間軸上のラストが最初に来ているからでしょう。この物語の終わりは桜のようにパッと散ってしまう感じを受けました。読み終えてからも桜の幻想的な世界から戻れないみたいに。なにはともあれ、L・O・V・Eとミステリの富士ミスにはぴったりじゃないでしょうか。


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