鹿男あをによし

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コミカル5燃える5
万城目学鹿男あをによし幻冬舎,2007


秋山真琴さんの感想を読んで手にとりました。大学での研究が煮詰まっていた主人公が、女子高の教師として奈良へと赴任する話。そして鹿が喋る話。
教職は持っているものの生徒との接し方を知るはずもないし、女子高ということで戸惑うし、堀田という生徒には冷たい視線を向けられるしで、序盤は悪戦苦闘する描写が楽しかったなー。
鹿が喋り始める辺りからは、さらにおかしくなっていきます。鹿に指令を出されるとは……。鹿からの人間批判とか笑っちゃいました。深いお言葉です。そして、ポッキーだけは最高とか、鹿の癖に人間らしい矛盾があって素敵。
鹿だけに限らず、かりんとうというあだ名を持つ同僚の藤原くんやダンディな教頭・リチャード、美人な剣道部の顧問マドンナなど坊ちゃん的な配役も楽しい限り。


なんだかんだのうちに剣道大会に突入するのですが、逆境での戦いということで燃え燃え。好意的なのかそうじゃないのか、ミステリアスな堀田の魅力が満載です。
そして最大の謎へと迫っていくんですが、序盤の伏線の数々に驚き、また笑いました。ちりばめられた関係ないとも思えていたかけらを、豪腕で全てを纏め上げてしまうとはね〜。ビバ神経衰弱。
嘘を本当にしてしまう堀田がかっこいいな。颯爽と現れるシーンは惚れました。最後のベタベタにもキュンキュン! ある種馬鹿馬鹿しい話ではありますが、大変満足できました。鹿せんべいを食べるような味わいがありましたよ。


万城目学さんの作品感想


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