有頂天家族

有頂天家族  Amazon
コミカル5癒し3燃える2
森見登美彦有頂天家族幻冬舎,2007
森見登美彦さんの作品感想


四兄弟の狸の家族の話。面白おかしく生きるのがモットーの三男が主人公。狸一家を始め、以前の力をなくしてしまった天狗・赤玉先生や天狗をも凌ぐ力を手に入れた人間・弁天など愉快な仲間が続々登場します。


いろんなことに面倒くさくなって狸を止めて蛙になってしまった次男がいいな。「緑の蛙が紅くなっちゃうゼ」や「うむ、俺なら井戸に籠もって然るべき境遇だ」など可笑しいな〜。金曜倶楽部の教授もオモチロイやつです。愛してるけど食べたいとか論理もへったくれもない。


狸鍋をしてしまうこともある弁天とのやりとりが冷や冷やしつつもドキドキします。人間なのに、じゃなくて人間だからこそ卑劣極まりない弁天だけど、なぜこうも憎めないんだろう。むしろお近づきになりたいなんて何故に思ってしまうんだろう。
同じ人間だからかな〜。それとも美人の女性だからかな〜。……でもでも、オスが美人に弱いのは太古から変わらない事だと考察されるのである。


次男を思う母親の愛とか兄弟一丸となって問題に対処しようと奔走するラストは大好き。思わず尻からしっぽを出してしまうくらいうるっときました。ほんと面白くて尊いよき家族なり。


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