カイルロッドの苦難③

ファンタジー⑤コミカル③シリアス②
冴木忍愁いは花園の中に (富士見ファンタジア文庫―「卵王子」カイルロッドの苦難)富士見書房,1993


まだまだ続くよ卵王子一行の旅は。ということで、シリーズ三巻目。ちんまい感じの表紙の女の子がかわいらしい。
物語の始まりは競馬から。ここまでいいようにこき使われる王子ってどうなんだろう。人が良すぎるというかなんというか。それにしても、その馬刺しはおいしいのだろうか?
カイルロッドの活躍で無事に切り抜けるものの、次の村で足止めを食らっている最中に敵に襲われ、カイルロッドはさらわれてしまいます。一人離れてしまったカイルロッドは、パムという少女に助けられます。表紙の女の子ですね。これまた奇妙な物語に巻き込まれていきますが。


競馬では人でなしな部分を見せたイルダーナフですが、やっぱり頼りになるんだよね。見様見真似で魔法を使ってしまうとか、本当に隠し芸ってレベルじゃない。
まあ、頼りになるくせに、重要な部分ははぐらかすんだからつれないよ。カイルロッドたちを監視していた人も表舞台に出てくるけど、目的がよく分からないですよ。誰が敵で、どんな目的をもっているのか色んなことが想像できすぎて絞り込めない。カイルロッドの両親とか新たに発揮した能力とか、もう謎が謎を読んでいるこの状態を、ずばっと解決して欲しい。
さらに敵の言葉から、どうもカイルロッド自身も本人の知らないところで暗い部分があるみたいだ。未だに全貌は見えてこないけどどう考えても明るい話ではなさそうで、嫌な雰囲気です。
今のところ、何も問題を抱えていないようなのはミランシャくらいだろうか。彼女には明るく盛り上げてもらいたい。彼女の抱える問題は酒乱くらいでよろしいのです。


今回の大きな騒動についてはもうやってられないの一言。ファンタジーコメディだと思っていると、痛い目にあいますよ。てか痛かった。
パムを抱きしめているカイルロッドのイラストも辛い。物分りがよすぎる子供も、幸せにはなれないのかな。自分の知らないところで動かされている子供をみてると、やりきれない。
泣いてやるだけでなんになる。所詮、無力なてめぇを憐れんでいるだけだ。」このセリフが言えるイルダーナフの強さには驚かされます。取り返しのつかないことをしてしまったとき、起こってしまったとき、そこで立ち止まってしまうのではなく、最善を尽くすようにしたいですね。難しそうだけど。
一歩色々な方面で成長したように思えるカイルロッドですが、この後も成長を続けるのかな。徐々に深まっていく謎にも期待したい。旅の続きが気になります。
同著者作品感想