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野村美月『神宮の森卓球場でサヨナラ (ファミ通文庫)』エンターブレイン，2003　　　類似検索

卓球場シリーズ四巻目にして最終巻。今までのように敵がいるわけではないです。華代ちゃんの様子がおかしいので先生の跡をつけ、金髪美人と密会をしている現場を押さえたことから最後の物語は始まります。仲間の中で、また主人公・朝香の中で尊敬の対象である華代ちゃんの問題であるだけに、簡単にはいきません。迷った朝香は、小学校時代の図書館に向かってみたり、そこの司書さんとの会話を通して自分を見つめなおします。終わらないように思っていた学生生活も終わりが見え始め、将来の夢とか就職について考えるとことか好きだな。
山田くんも地味だけどいい。まあ葛城先生ともども、女の子の輪には入れないので中心にはいけませんが。メインが九人の女の子だから仕方ないか。そんなメンバーが一致団結して問題に取り組むも、華代ちゃんを苦しめているだけじゃないかと悩んだりといじらしい。その上で出した結論にはある種すがすがしさを覚えました。
「別れることに慣れてしまうのかもしれないけれど、きっとそれだけじゃない。」最後に朝香が下した決断にも拍手したい気持ち。これまでのシリーズはギャグ部分と感動部分が別個にある印象だったけど、今回は比較的まとまっているような。あらすじが原因かもしれませんけどね。なんにせよ最後まで楽しく、そしてほろりとさせられるシリーズでしたよ。