七夕ペンタゴンは恋にむかない

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恋愛5コミカル3泣ける2
壱月龍一七夕ペンタゴンは恋にむかない (ガガガ文庫 い 1-3)小学館,2009
壱月龍一さんの作品感想


七年に一度の晴れ七夕に神様と出会い願い事をした湊を含め、5人の少年少女が描かれています。deltazuluさんの感想を読んで手にとりました。
5人のうち1人が欠けたことで、年齢を重ねたことで、以前のような日々を送れなくなったことに、湊は寂しさを覚え反発していくことが出発点です。
この自己中心的で、パワフルな振る舞いが再びの日々を取り戻そうと足掻くわけで。湊のデリカシーのなさに呆れつつ、バカにしつつも、それが純真さの反動なんだと思えてきます。
なにせ、裏表のない性格であり何事も素直に受け入れる強さもあって、真っ直ぐな想いを恥に思うこともなく行動に移せるんですから。


ただ、全員が湊と同じ思いではなく。中盤のねじれペンタゴン模様は、息詰まる展開でした。相手のことを思いやると言う名目の逃げだったり、過去への執着だったり。どこに向かって走っても壁ばかりな印象。
お約束なまでの誤解で笑いつつも、いくつかあるキスシーンでは泣きたくなりました。初恋なのに、あるは大切な初恋だからこそでしょうか、激しく相手にぶつかっていく姿が切な過ぎます。
ただ同時に、懐かしくも温かい気持ちになれました。う〜ん、雨にうたれているのに満たされた気持ちになってるような妙な心持ちです。
互いに等距離のペンタゴンが描けていなくても、誰かと誰かの線が繋がっていれば、それはもう素敵なことなんじゃないかな。綺麗な形だけがハッピーではないのだし。どんなに離れていたって……そんな七夕の物語。


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