天地明察

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燃える10
冲方丁天地明察角川書店,2009
冲方丁さんの作品感想




江戸時代を舞台に、算術にのめり込む碁打ち・春海の物語。恵まれた生活をしつつも、いまいち満足いかない生活を送る春海が、熱中するものに、人生を懸けられるものを知ることから始まる物語。
御城碁が真剣勝負じゃないってことを始めて知りました。碁が好きなので、もうちょっと碁の話を……と思いましたが、そんなこと思えたのは序盤だけでしたね〜。deltazuluさんの記事を読んで手にとりました。


とある人物に見込まれて、途方もなく大きな仕事に取り掛かります。勝負に失敗しやる気を失った春海を再び火をつけた、建部と伊藤とういう心が若い2人の老人との交流、託された願いが最初のぐっとぽいんとでした。
そして、これまでの経験、出会い、知識が一体となって完成系へと至る過程は圧巻。途方もない旅路の一端を知ることができて満足です。
微妙にラブコメ描写もあり華を添えます。天体の理のごとく、楽しさ厳しさ嬉しさ悲しさが緻密に計算された展開を楽しめること確実。天体級の面白さなのでぜひ読んでもらいたいです。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee 1  Amazon2 テンペスト 上  Amazon3 僕たちの終末  Amazon
1、冲方さんの小説「シュピーゲル シリーズ」趣が違いますがこれも面白いです。→シリーズ感想
2、池上永一さんの小説「テンペスト シリーズ」琉球を舞台にした重厚で激熱な物語。→シリーズ感想
3、機本伸司さんの小説『僕たちの終末』ものづくりが楽しくなる宇宙船製造物語。→感想