5年3組リョウタ組

5年3組リョウタ組  Amazon
燃える5コミカル3癒し2
石田衣良5年3組リョウタ組角川書店,2008
石田衣良さんの作品感想


現代版坊っちゃんとのキャッチコピーがありましたが、本当にそんな感じ。問題に真摯に取り組む主人公の姿勢や痛快さは健在です。5年生の担任になったリョウタの物語です。中日新聞で連載されていた作品。
最初にぶつかる問題は、勉学は優秀だけれども頭がよすぎて点取り以外の授業には興味を持ってくれない少年の話。家族の問題なども絡んでくるため、思い込んだら一直線のリョウタにも、一筋縄にはいきません。先生って大変やな〜。


考えるのが苦手なリョウタを助ける先生陣は好感が持てます。クラス競争では万年ビリ候補のリョウタを何故かライバル視する、優秀な同期の先生・染谷とか。過去の話を打ち明けるなど、リョウタに徐々に近づいていく計算高いその姿勢ですが、やっぱり嫌味はないですよね。
染谷もちゃっかりしてるので、リョウタとの会話が楽しいです。ポロリと出てくる素の表情がいい。最初の頃とのギャップがまた笑える要因になります。


生徒の問題だけではなく、先生同士の問題にも突っ込んできます。大人の複雑な絡みもありますが、楽天主義のリョウタと理詰めの染谷のコンビは奮闘します。てか、複雑言いつつも、子供も大人も問題はある意味シンプルですか。
冬の季節の事件は驚きました。これをどうまとめるのかがさっぱり分かりませんでしたからね。
染谷の活躍が目立ちますが、紅一点の山岸先生も素敵。ツンだけかと思いつつ、終盤にはデレがあるからたまらない。年下をいたぶる女教師って、その単語だけでご飯三杯いけますね。
ひどく真っ当に面白かったです。坊っちゃんよりも若干痛快さが増しているのもよかったなー。


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