Xトーク

Xトーク  Amazon
ホラー8鬱2
来楽零X(クロス)トーク (電撃文庫)アスキー・メディアワークス,2008
来楽零さんの作品感想

呪いうんぬんでホラーな感じ、ヒタヒタするようなものを想像していましたが、どちらかいうと気持ち悪い奇妙な違和感がある作品でした。四つの怖い話が語られています。
クックロビンの埋葬」女性の死体と同居しながら、彼女は死んでいないと言い張る男・壱と彼に興味を持った都和という女性の話。都和の気持ちが徐々にゆがんでいく様子が嫌でした。目を背けたいけど、見てしまい気分。
ヘッドハンティング」都市伝説の存在である「首刈り」と出会ってしまった高校生・融の話。怖いけど見て安心したいという欲求、それさえも叶えられない残酷な話でもあります。
彼女とのキスシーンが一番読みたくありませんでした。タイトルのセンスは、乙一さんの『リストカット事件』(→感想)を彷彿とさせますよね。
子供たちの町」子供の様子がおかしい町に引っ越してきてしまった高校生・光平。感情豊かなのが子供というイメージですが、そのイメージが壊されると嫌だねという話でもありんす。
七不思議の向こうで」最初は興味本位で学校の七不思議に近づいたものの、徐々に恐怖の方が強くなっていく女子高生・茜の話。
見ちゃいけないと思いつつも、見て安心したいという二つの心の間で揺れるのはよくわかります。ホラーにこの形容詞は似合いませんが、手堅く奇妙な世界観を味わいたい人におすすめです。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 ロミオの災難  Amazon2 独白するユニバーサル横メルカトル  Amazon3 七つの黒い夢  Amazon
1、来楽さんの小説『ロミオの災難』設定的にはホラーだけどラブコメしてる話。→感想
2、平山夢明さんの小説『独白するユニバーサル横メルカトル』思考する地図の話など魅力的な短編集。→感想
3、『七つの黒い夢』ホラー風味な七つの作品のアンソロジー。→感想