君の嘘、伝説の君

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清水マリコ君の嘘、伝説の君 (MF文庫J)メディアファクトリー,2003
清水マリコさんの作品感想


ずいぶんと社会を見下した態度で書いた読書感想文を欲しいという女の子・神鳥智奈が現れることから始まる物語。嘘シリーズの2巻目。
家族の団欒や協調は遠ざけ、つまらない日常ではない世界に惹かれる操が主人公です。智奈の従姉妹・ミカやウィッチウイルスを追いかけるふしぎ研究会の活動などが関わってきます。……「五章 怖い感じ」は、ほんと不気味で逃げ出したかったですよ。
壁を築いていて周囲のこあまり考えていなさそうなのに、気になってしまった女の子には嘘をついてまで優しくするのが、妙に子供っぽくて素敵。


操と智奈の交流はどこかずれてるというか、演劇っぽい感じが全体的に漂っています。逆に、至極真っ当に虚構のお兄ちゃんと妹を演じる場面は、嘘なのに真剣な感じがして皮膚がザワっとするなど心臓に悪かったような。
私はこの場面がすごく好きなんだけれども、近づいちゃいけないよう雰囲気があったのですよ。帰ってこれなくなりそうで。その点では、怖いもの知らずで飛び込んで行く操が頼もしくもありますね。
あと、一番お好みは表紙のイラストで描かれているシーンです。ほんのちょっとの日常との乖離部分、遊びの部分がとても奇妙で、けれども神聖な感じがしました。


それにしても、操はよく二人きりで部屋にいるときに抱きしめたりしなかったなーと思う。まあ、それをしたら物語は壊れてしまうと思うので、私では主人公の代わりはできなさそうです。よかったようで残念な複雑な気持ち。


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