夜明けの街で

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恋愛6萌え3ミステリ1
東野圭吾夜明けの街で角川書店,2007


おやじと呼ばれるような歳になってしまい、結婚もしているので恋愛との縁が遠ざかっていた渡部が、バッティングセンターで奇妙な出会いを果たした派遣社員の秋葉に恋してしまう話。野生時代に連載されていたもの。
不倫に走る二人ですが、秋葉が遭遇した過去の事件の謎が出てきたりして、徐々にミステリアスな流れに。被害者の妹や秋葉の父、あるいは刑事などが渡部を惑わします。


予備知識もなくミステリ小説として読み始めましたが、最大の魅力は秋葉のキャラクター性だと気づきました。秋葉のちょっときつめな性格に心くすぐられます。
初めてのデートの誘いに関するやりとりもキュンキュンせざるを得ないです。意地の張り合いというかツンデレというか。「渡部さん、行きますか。それとも逃げますか。」という誘い文句もよかった。秋葉のかわいさは異常だと思う。
中盤以降、渡部の中途半端なグダグダ感が伝わってくるのですが、逆に秋葉のかわいさはさらに磨きがかかってくるわけで。スキー場でのハートマークとか、どんだけかわいいことしてくれちゃってるのよー。強気なセリフが続いて、最後にこれだからもうメロメロ。
あたし、待ってるよ」なんて、もうこれしかないってセリフだけど、やっぱりいいな。


ベストシーンは序盤、謝れば済む話なのにつっけんどんな対応しかしないことを渡部に指摘され、秋葉が泣きながら「それが出来ればどれほど楽か……。素直に謝れるぐらいなら、あたし、こんなに苦しくない――」と呟くシーンです。
ぐさっときました。この、過去にちょっとナンかある風なセリフにはやられましたよ。私の脳裏には、秋葉のイベントCGやメッセージウィンドウが再生されちゃいましたし。
東野さんは時代を先取った作品を書かれている印象があります。ということは、ようやく時代がエロゲに追いついたということでしょうか。


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