巷説百物語
京極夏彦『巷説百物語 (角川文庫)』角川書店,2003
秋山真琴さんの感想を読んで手にとりました。直木賞受賞シリーズの一作目。
「小豆洗い」雨の降る山の中、小屋で一夜を明かすことになった円海の話。小屋の中の人物たちが怪談を話して夜を明かそうとする話なんだけれども、最後にこれがひっくり返ります。ほとんど予備知識なしで読んでいたので、驚いたな〜。
狐を殺しまくった猟師の話「白蔵主」三人のごろつきの話「舞首」狂っている高貴な方と人を化かす狸の話「芝右衛門狸」人前に出たがらない長者の話「塩の長司」次から次へと妻に先立たれる夫の話「柳女」なども収録されています。
さすがに二話目以降は驚きませんでしたが、でも感心しちゃいましたよ。おぎん、又市、治平、百介の活躍が痛快さもあるんだけど、人間ぽさというか無常観みたいな流れもあって面白かった。
「真相なんか知らなけりゃ良かった」という心情の吐露に共感したりも。ありきたりだけど、妖怪よりよっぽど人間のが浅ましいもんですな。
この小説が好きな人にお勧めする③
①京極さんの小説『どすこい(安)』タイトルからしておかしい小説。
②泉鏡花さんの小説『高野聖』日本の怪異の話。
③アゴタクリストフさんの小説『悪童日記』戦時下の兄弟の話。→感想