日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社  Amazon
坂本光司日本でいちばん大切にしたい会社あさ出版,2008
坂本光司さんの作品感想

社員とその家族を幸せにする」を始めとした、5つの使命と責任を果たしている、とっても素敵な会社の話が掲載されています。
数字で驚くってのもどうかと思うのですが、社員の七割が障害を持った方な会社や四八年間増収増益な会社などなど、こんな会社あったのかと驚かされます。……就職活動前に読んでおいたほうがよかったかも。


最初のダストレスチョークを製造している、日本理化学工業の話からもうカルチャーショックでした。「人間にとって”生きる”とは、必要とされて働き、それによって自分で稼いで自立することなんだ」と気づいた社長が、中小企業だからそんなに人が多いわけでもないのに、毎年障害を持ってる方を採用してるとのこと。
作業工程に人を合わせるのではなく、人に作業工程を合わせる……口で言うのは簡単だけれども、実践するのは大変だ。いや、大変と言うより、普通だったら作業工程に人をあわせるお手軽なほうを選んでしまうだろう。


勢いがある業界ではなさそうな、寒天を作っている会社の話もすごかったです。四八年間増収増益。しかも増収増益が止まった理由もびっくり仰天でした。また、その話の中で出てきていましたが、ブーム到来で注文殺到になったものの、『社員に残業させることはできませんので、せっかくのご注文ですが今は対応できません』と社長は注文を断っていたんだとか。また、この会社の敷地内には通学路用の歩道橋あるそうです。


他にも、3年間入院している社員に満額の給料とボーナスを払い続けた会社だったり、精神的な疲れから会社に来てもすぐに帰ってしまう社員を七年半も根気強く待った会社だったり。本当に会社って多種多様、いっぱいあるんだなと思いました。
どれも素敵な会社だと思いますが、魅力的な部分はみんな少しずつ違います。寒天を作ってる会社の話と義足を作ってる会社の話は、お客様の優先度が違うわけで。でも、共通しているのは「ブレない正しい視点」を持つことの重要さを知っていることかな。「業績を最初に持ってくるのではなく、会社を継続することが大切」が一番印象深かったです。