ラッキーチャンス!

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コミカル6癒し4
有沢まみずラッキーチャンス! (電撃文庫)メディアワークス,2007
有沢まみずさんの作品感想


五円玉を駆使する術を持つ”ごえん”使いの雅人のところへ、元・疫病神の福の神・キチがやってくる物語。出会いの場面からして女の子にぼこぼこにされるなど、キチとの出会いは吉とでるのか凶とでるのか。


うまく使えない幸運招来と活用できない両替崩ししか扱えないキチですが、元々不幸な雅人を応援するために奮闘します。
キチの性格をよく知らなかった最初は、巻き込むだけ巻き込んで問題を大きくしていくキチにいらっときたけど、それはほんの最初だけでした。
生まれたばかりの如く常識が抜け落ちているのですが、子供と変わらないその無邪気さがとてもほんわかした気持ちにしてくれます。ドタバタな騒動に巻き込まれるかもしれないけれども、一生懸命なキチを見ていると許せてしまうわけで。


雅人の後見人みたいな校長の性格はにんとも。あまりに個性的過ぎておかしくなってますがな。キチに変なこと教えるな〜。
雅人の友人・和尚はさらに研ぎ澄まされていて、突出しているというかリビドーしているというかー。見ていておかしな気分になれます。


天真爛漫な女の子に振り回される話は、主人公があまりにひどい仕打ちを受けていて受け付けないものもあるのですが、このお話はいい感じ。
何より雅人の性格が好感持てるのですよ。憧れの二ノ宮さんの前できょどって”ダレカボクヲコロシテ……”と嘆いたり、実体化したキチが膝の上にいてドキドキしたり、玉子焼きの件でどうにか説明を試みるなどなど。
適度に謙虚で、エッチで、お気楽極楽で、恋心を持っていて、キチの親代わりで、そして友人である雅人の視点で話が進んでいきます。だから、とても穏やかでほっこりできるんですね。


終盤はらっきーわーどを見つけられてよかったよかったと思いきや、最後はなにやら意味深なシーンで締めくくられています。
でも、キチの傍に雅人がいれば、雅人とキチが互いを大切に思っていれば安心して読めると確信していますよ。


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