ポチのウィニングショット

ポチのウィニングショット  Amazon
燃える⑥恋愛④
葛西伸哉ポチのウィニングショット (GA文庫)ソフトバンククリエイティブ,2007


webの感想を読んで手に取りました。仮想空間使って行う一対一のスポーツ・スフィアボールを扱ったもの。最初に漫画での基本的なルールなどの解説があります。
主人公の女子高生・星子はぶらぶらと入った場所で、このスフィアボールに打ち込んでいる黒崎先輩に一目惚れし、先輩に近づくためにスフィアボールに挑戦し始めます。星子は、自己紹介のときのいい間違いや子犬のような性格から、ポチと呼ばれることになります。
先輩に手取り足取り教えられているポチは、本当にテンパっててちっさかわいいな〜。代わりに、先輩がスフィアボールに集中しすぎで、ポチに無愛想すぎるのがなんとも。ポチ視点だからかも知れませんけどね。


楽しくも甘い日々が過ぎていくと妄想していたのに、先輩が離れていってしまうことを知ってしまったポチは、がんばってついていこうとします。
でも、先輩にくっつくのに集中しててスフィアボールの練習に集中していたとは言えないポチ。練習に力を入れていなかったことによる、力不足を実感することになります。先輩に教えてもらったことを生かせなかった、ポチの心中を考えるといたたまれない。自分はダメなんだと、諦めの気持ちでいっぱいだったでしょう。
それにしても、親友であるナナの発破がいいところで来るな〜。さすがポチのことを分かってる。「諦めるのはいつでもできるでしょ! ポチなら犬らしく、まずは獲物を追いかけろ!」はいいですね。ナナがいなかったら、ポチがやる気になれたかどうか。


自分なりの戦法を決めてそれを成功させるところは、ポチよくやったなーって褒めてあげたくなった。読んでてうれしくなってくる。どんなスポーツでも、自分で考えて動けるようになると一段上の楽しさを味わえますからね。
最後の決意はいい感じ。「まっすぐに射止めるために背を向けなきゃならない事もある。好きだからこそ挑みかからなきゃならない事もある。」こんな決意ができるなんて、先輩に近づきたいだけのポチから一皮むけてますよ。
最後のとんでもな行動は、おいしゅうございました。
この感想で随分とネタバレしているような気になってくるほど、話の展開はストレートです。人間関係なども複雑では全然ないので、スフィアボールというスポーツを十分に想像しながら、読み進めることが出来ます。ポチの素直さが心地よかったし、読んでて楽しかったー。


葛西伸哉さんの作品感想


この小説が好きな人にお勧めする③
櫂末高彰さんの小説『学校の階段』階段部という奇妙な部活動に精を出す高校生たち。→感想
森絵都さんの小説「DIVE!!シリーズ」飛び込みというマイナーなスポーツをがんばる中学生たち。→シリーズ感想
羅川真里茂さんの漫画『しゃにむにGO』一目惚れが原因でテニスをがんばる元陸上ランナー。
① 学校の階段  Amazon② DIVE!! 上巻  Amazon③ しゃにむにGO  Amazon