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渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で〈5〉 (電撃文庫)』メディアワークス，2004

第四王子のフェリオを筆頭に内乱を何とか治めた後、各々がそれぞれの役目を果たして敵に対抗しようとする中、フェリオの幼なじみウルクが大変なことになっちゃてるシリーズ五巻目。シリーズ初のフェリオと第三王子・ブラドーの対決があったり、ライナスとディアメルのコンビの息の合った掛け合いがあったり。戦乱は一旦収束しており、本格的な敵の進行があるわけではありませんが、ウルクの件や来訪者であるイリスたちの動きが活発で面白いです。
傍観に徹していたイリスたちも徐々に力の片鱗を見せ始めています。敵側なのが複雑な心境ですが、来訪者の最年少のシアが思いもよらぬ行動をとるし、なんといっても、パンプキンが出張ってきたことがうれしいですよ。来訪者といえば、ちょいと落ち着いた雰囲気に触発されてかリセリナにも心境の変化が。リセリナも特別な手段でフェリオを篭絡しにかかってますし、ウルクといい勝負に持ち込めるのでしょうか。私はウルクを応援しておきますがねー。
それにしても、どうして次から次へと渡瀬さんはフェリオたちを追い込んでいけるのやら。解決手段が見当たらない状況へのもっていきかたが憎らしい。こうもいやらしい展開が続くと、幸せな結末を求めてついつい頁を繰る手を早めてしまいますよ。読むペースを飛ばしすぎると物語を楽しめなくなるのでいかんのですがね。
人間関係も多岐に渡ってきており、レミギウスの孫であるメイヤーも今回の話で大きく前進した印象。エンジュといい、このメイヤーといい、表舞台に出てこないと思っていたキャラでもちゃんと話を広げてくるからうまいなーと思う。シルヴァーナさんは逃走シーンや過去など出番がありましたが、剣聖ウィスタルの活躍が思ったよりも少なくて残念ですよ。その辺りも含めて、次巻が読みたくて堪らないです。
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