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三十台のＯＬを主人公にした物語。五つの話が収められた短編集で、連作短編集ではありませんがどれも雰囲気が似ています。面白かったですよ〜。
「ヒロくん」思わぬ昇進で年上の部下を持ってしまった聖子の話。仲良くやろうと思っているのに、部下からは女ということで反発を食らうし、さらには聖子より年収の少ない夫の博樹が頼りなく感じられたりと、聖子は気が滅入ってきちゃうわけです。でも、ヒロくんがいいやつでほっとしました。なんかこういう話好きです。「マンション」親友がマンションを購入してしまい、自分も購入したくなったゆかりの話。購入したいという気持ちが大きくなってくるものの、そうなるとローンの関係から会社を離れられなくなるというジレンマに襲われます。そういうときに限って問題が起こるわけですが。自分の一番大事なものを確認できるまでの過程が、丁寧に描かれていて好印象。
「ガール」若い服を着たりするのが好きな由紀子の話。二十代に混じってディスコで踊りまくったりする由紀子ですが、段々と年相応の行動をするべきかと悩みはじめます。そんな彼女を引っ張りまわす、由紀子よりも先輩のお光がいいキャラしてますよ。ファッションショーでの一文「よかった。理性はあるようだ。」には笑った＾＾
「ワーキング・マザー」シングルマザーとしてホームヘルパーさんに子供を預けながら働く孝子の話。鉄棒やキャッチボールに挑んでいるところなんかは、読んでて心が和んできます。そして祐平君の一途な思いにはきゅんとくる。私が言うのもなんだけど、こう歯車が噛み合ってる親子っていいな。「ひと回り」自分が指導する社員がひと回り若くかつハンサムでときめいちゃう容子の話。いやはや読んでて、いっぱいいっぱいな心情がよく伝わってきます。ぼちぼちな落としどころへときれいに決めてくれて、いい感じの読了感を味わえました。
この小説が好きな人にお勧めする③
①奥田さんの『サウス・バウンド』沖縄を舞台にして家族が描かれています。→感想
②高殿円さんの『カミングアウト!』秘密を抱えた人物たちの交錯模様が描かれています。→感想
③森絵都さんの『風に舞いあがるビニールシート』どれもすばらしい六つの短編が収録されています。→感想
