ミステリxシリアス


ドンウィンズロウ『ストリート・キッズ (創元推理文庫)東京創元社,1993   類似検索


deltazuluさんがすすめられていたシリーズの一巻目。秋山さんのブログでもプッシュされていました。元ストリートキッズでとあるきっかけから探偵に育てられたニールが、副大統領候補に推されるはずの議員の娘を取り戻しに行く話。何回かのひっくり返しがあるし、一筋縄ではいかないストーリーにも満足できたし、端々で描かれるニールと彼が父さんと呼ぶ師匠・グレアムとの関係も素敵です。探偵のいろは、生き残るための術を叩き込んでいる場面も楽しかった。
なによりもニールが魅力的なのです。待てども待てども現われない相手に焦っているときも、ニールは軽妙な思考を働かせているので飽きることがありません。車で逃走しようとするところなど、危機的状況なのでドキドキしながらもくすりとすることもありました。情に流されて窮地に追い込まれ、でも何とかしようとする姿をいつの間にか応援してましたよ。
打てば響くを地でいく会話も可能で頭もきれるニールも、後半はとくにヒヤヒヤする場面が多かったのですが、そう感じさせないように隠している描写が面白かった。ぽんぽんと軽快に続いていきますが、最後まで読むと子供っぽい印象の強かったニールの苦味の部分に気づかされましたよ。完璧とはいかないまでも、最善をつくした結果の結末には納得できたけど、ちょっと切なかったり。


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