東京の地名はわりと見るんですけどねーミステリxコミカル


太田忠司伯林水晶の謎 (ノン・ポシェット)祥伝社,1998   類似検索


霞田兄妹シリーズの第三弾。志郎が大学時代に独逸語を教えてもらった先生を見かけたことから、兄妹は事件に巻き込まれます。推理力は前二回の事件で実証済みなのに、素人が捜査に口を突っ込むことに慎重な志郎が今回も色々と悩んだりします。でも、今回のメインは世界大戦中のパリで起きた実際の事件「水晶の夜」との絡め具合でしょうか。読みながら、そう言えばこんな事件あったなと思い出してましたよ。
兄妹のやりとりが相変わらず楽しい。もちろん男女の関係には発展しないけれども、分かり合ってるというか信頼し合ってる描写がいいな〜。麗しい兄妹愛ですのじゃ。お菓子の城とか犬山とか聞きなれた言葉が出てきて、これでもくすぐられてしまいます。自分の生活圏が出てくるとうれしくなりますよね? 
とにもかくにも、冷淡になりすぎない志郎とバカになりすぎない千鶴のコンビがいい。実在の事件を題材にしているのでわりと大味になっていますが、それでもやはりこの二人の魅力は損なわれないですね。世界観に惚れてるってことでしょうか。