■
上月雨音『SHINO ―シノ― 黒き魂の少女 (富士見ミステリー文庫)』富士見書房,2006 類似検索
大学生の「僕」と小学五年生の志乃ちゃんのお話。ちなみに二人は同じアパートに住んでいるといっても過言ではありません。許せないですな。志乃ちゃんによる問答、「生きるということは?」「死ぬということは?」みたいな部分が多め。ラブ要素はあまりなく、萌えって雰囲気にもなかなかならない。S&Mシリーズの萌絵ちゃんみたく、巻を追うごとに人間っぽくなるのかな〜。でも、志乃ちゃんが猟奇殺人を犯そうとするところはよかったですよ。
話は三つに分かれていて、最初は集団自殺とカラオケボックスの事件、そして自殺志願者のサイト「デッドエンドコンプレックス」についての話。二話目は血を抜かれた状態で発見される死体についての話。三話目は一話目の回収的な意味合いの話。二話目はページ数も少ないし箸休め的な感じでしょうか。一話と三話には存在する証明部分がまったくありませんし。
「死によってのみ完結されるのです」って言葉が頭に残ります。この志乃ちゃんの語り口が非常に心地よいです。多かれ少なかれ探偵さんは魅力的なキャラじゃなきゃ勤まりませんが、志乃ちゃんの思考も素敵なので探偵役として十分。そう考えると、この小説はミステリとか推理小説っていうより探偵小説に近いか。それにしても、決して好みの絵じゃないんだけどかわいいなって思うのは小学生だからでしょうか? それはどうかと思うんだけど。
この小説が好きな人にお勧めする③
①森博嗣さんの『S&M』シリーズ。理系ミステリ。→シリーズ感想
②御影瑛路さんの『僕らはどこにも開かない』→感想
③甲田学人さんの『Missing』シリーズ。学園ホラー小説。→シリーズ感想