本文でも登場していますが、まさしくロードムービー。誰か映画にしないのだろうか?コミカルxヒール


山下卓RUN RUN RUN徳間書店,2006   類似検索


山下さんはライトノベルでも何冊か書かれているようですがどれも未読。だから、これが初めての本です。女子高生のマコト(18)、キャバ嬢のルナ(24)、編集者のマリ子が、どういうわけだか日常生活をぶっちして北のほうへと旅行に出かける話。目的地は温泉宿ですが読者サービスはない。マリ子に愛着を感じてしまうのはドジっ娘だからだろうか。空き缶が頭にぶつかったりしてますし。まあ、もう三十歳間近なんですけどね。
擬似姉妹の三人がほほえましいです。宿へと向かう車中では、漫画とか歌の知識などで世代間の雰囲気作りがされてます。といっても、精神年齢はなんとなく逆転しているように思えましたよー。少なくとも序盤は。中盤では彼女たちが抱えている三者三様の問題をぶつけ合います。この辺りもいい話なのですが、私のお気に入りは旅の終わりの意識し始めた終盤のどちらかいうとコミカルな部分。ハイヒールを原料にしたローファーの豪快な作り方も笑えるんだけども、きゅんときます。
「湯沸しポットひとつ強奪できないなんて、あたしたちだめだめじゃん……」の台詞が出てくる場面は、この台詞も含め好みの展開。マリ子の姉っぷりが全開に発揮されるからです。その後のポットを巡るアホアホなオチも秀逸。シリアスな部分を入れつつも、それ以上のコメディ要素を盛り込んでいるところに好感が持てちゃうのですよ。


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