最後は直球ど真ん中クライxコミカル


リリー・フランキー東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』扶桑社,2005


一番私になじみが深かったのは「おでん君」です。だから、リリーさんってイラストレーターだと思っていたんですが、ほかにも色々やっていみたいですね。本屋大賞も獲ったしものすごく売れてるようですよ。昨日の新聞のランキングでもトップを取っていました。
子供時代は、やんちゃしたことや謎の多い家庭環境、元は病院だった家の話など笑えるものが多いです。動物園に連れて行ってやると言われたのに競馬場に連れて行かれるなど、素で「それ散る」をやってますしね^^そうそう、カエルの皮を剥いで肛門に爆竹とかありますが、昔はみんなやってたんでしょうか? よく耳にはしますが現場を見たことないんですよね。……なんか痛そうですし見たくないですが。
途中途中に本編から少し離れたエッセイ(説教?)みたいなものが入ってます。独特な言い回しで、ポジティブネガティブなんでもありです。
子供時代を過ぎると、ついに東京に出てきます。防音設備があるわけでもないのに「ピアノ可」の物件の謎には笑いました。私だと怖がってやらないような道を歩いているので、そこが面白いのかな。面白いといっても、大人になってからは月々の年金も納められない人にたかっていた過去の自分を反省するなど、オカン関連の後悔がいっぱいでてきます。だから、子供時代のように純粋には楽しめなくなります。
LAST KISS
だから、後半の大人になってからの話は、リリーさん自身のことよりもオカンの話が多いです。オカン中心に生活が回っているように感じられてきます。オカンの「なすびの、味噌汁よ……」という台詞の辺りではぐっときました。もうこの辺になると、佐藤ケイさんの『LAST KISS (電撃文庫)』と同じく直球が飛んでくるのでもうどうしようもありませんでした。もっとこうすればよかったという後悔などが読み手である私自身にも沸いてくるから不思議です。
そういえば結局、「五月のある人」って誰なんでしょうか? 何度か文章中に出てくるのですが、誰を指しているのか分からないのです。それとも、そういう表現なのかな。どこか読み飛ばしていたとしたらもったいないやな。