腹話術が肝ですぶーコミカルxヒール


矢崎存美刑事ぶたぶた (徳間デュアル文庫)徳間書店,2001


ぶたのぬいぐるみ・山崎ぶたぶたが活躍するシリーズの二作目。今度は長編作品で、ぶたぶたは刑事になって登場。不幸、ではなく幸運にもぶたぶたが上司にあたったひよっこ刑事の立川が、ぶたぶたさんに助けられたり助けたりしながら成長する物語……のはず。太田忠司さんの推薦文「そうか、ぬいぐるみにとって刑事って天職だったんだ。」は秀逸だと思う〜。
ぶたぶたさんが絡んでくるので変な事件が多いですね(笑)ぶたぶた係に任命された立川がはじめて行う仕事は笑いなしには読めません。だって、上司であるぶたぶたさんを○○すんですよ?! 子供に投げ飛ばされるわ、洗われるわでとても刑事とは思えません。そもそも、ぬいぐるみな時点でアウトではありますがその問題は横においておいて。
「ぬいぐるみ……なんですか?」「そうだよ」とか「共食いだったら、ぬいぐるみ食うべきだろ」とか楽しい文章ばっかです。印象深いところにはしおりを挟むようにしているのですが、何枚あっても足りませんよ♪
ぶたぶたが犯人の説得にかかるクライマックスの話では、真面目にくだらない計画をたてる刑事さんたちがラブリーです。いや、一応大切な使命があるわけですがあまり危険はない感じなので、どうしても笑い成分に変換されてしまうのですよ〜。もちろん笑いだけじゃなく、母親と娘の確執とか赤ちゃん誘拐事件や宝石窃盗事件の顛末とかほろりもあるでよ。