三枝零一ウィザーズ・ブレイン〈5〉賢人の庭〈下〉 (電撃文庫)メディアワークス,2005


ようやくこのシリーズも既刊まで追いつきました。そんな七冊目は四百七十項にも及んでおり読み応え抜群です。
最初は前巻で初登場したイルの過去の話。イルが出会った少女兼シスターの「ちょっとだけかっこ良く生きるためのお手本だと思うの」はいい言葉だと思います。なにか一つでも信頼できるもの(希望?)があれば毎日幸せに生きれると思いますし。シスターいいよシスター。黒衣の騎士・裕一はすっかりお父さんキャラが板についてきましたね^^
これを読んでると本当に正義対正義の構図が分かりやすくていいです。勧善懲悪でわりきれない面白さがここにあります。どちらにも理由があるってのはなにも小説の中だけじゃなく、実際の戦争なんかにも当てはまるんでしょうね。私が把握し切れてないだけで。
一巻で成功させたテーマを完膚なきまで叩き潰すところも見所です。スポットライトの当たり方でずいぶん雰囲気も変わることが実感できます。もちろん、一巻と同じようなテーマだからといって、縮小再生産ってなわけではありませんよー。
光使いのセラが信じていた少女に裏切られたと感じる場面やみんなを守るためのディーの決断、そしてそれに対するセラの態度なども面白い。錬の兄である真昼も、今回いいところをもっていきます。影の功労者でしょうね。
でも、一番印象に残っているのはイルでしょうね。どちらかと言うと味方サイドで今回のメインであるサクラ、ではなく敵役のメインであるイルです。彼の生き方が本当にかっこいいんです。「――必要な物はただ一つ。恐れぬ心、鋼の意思。」が出てくるあたりなんて、もう最高! Fateのアーチャーを彷彿とさせてくれますよ。いやもう、本当に彼はすばらしいw
んで、最後(あとがき)にもう一つすばらしいお言葉が。「それでは、「ウィザーズ・ブレイン」を、始めましょう。」ときました。これまではキャラ見せだったのですね。悲喜こもごもの叫びが出てきそうですフレーヾ(゚ー゚ゞ)( 尸ー゚)尸_フレー
さてさて、上に述べたように素敵なイル君ですが、自分の体を張ってみんなを守るので傷が絶えません。発売されたばかりのポーションサントリーのCM。動画なので音でます)でも飲んで体を休めてもらいたいです。