篠田真由美, 浅暮三文, 森奈津子, 近藤史恵, 早見裕司, e‐NOVELS『黄昏ホテル小学館,2004 Amazon


古びたホテル「日の出ホテル」通称黄昏ホテルを舞台にした物語を二十人の作家が描くアンソロジー。一つ目から順に列挙。
篠田真由美暗い日曜日」ホテルのバーを舞台にした物語。昔は自殺と断定されたのだが、時を経て謎が明かされる、みたいな話。カクテルが飲みたくなります。
早見裕司「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」薀蓄合戦が面白いです。書き方によっては、ものすごく暗い気持ちになるところを、わりと綺麗にあっさりとまとめられていてよかったです。
浅暮三文「インヴィテイション」すいません、私にはよく分かりませんでした。コミカルなのを期待してたもんで。
森奈津子「カンヅメ」タイトル通り、作家がホテルでカンヅメになる話。作中作を書き始めた辺りから、段々とおかしな方向へとなってしまう作家の悲劇です。
近藤史恵「夜の誘惑」この中ではオチっぽいオチがある話は少ないのですが、これはある話。読んでる最中はまったく気づきませんでした。オチつきとは思ってなかったので。最後のまとめかたも好みです。
小森健太朗「黄昏色の幻影」黄昏ホテルで撮られたと思われる謎の写真を、失踪中の夫の持ち物から発見する妻の話。芸術って、一定以上のめり込むと恐怖の対象になりますよね。
笠井潔「神輿と黄金のパイン」ある人物の探し出して欲しいという依頼を持ち込まれた探偵が、依頼人に調査結果を報告するところから始まります。最後の一文で笑った^^
田中哲弥「タイヤキ」身内やマフィアに追われるやくざ二人組みの、関西弁でのやり取りが印象的。オチがあるわけではありませんが、好きな話です。
久美沙織「HOME AND AWAY」医者の話。主人公が医学生のころの師の話がよかったです。現実主義というか皮肉が利いていると言うか。
雅孝司「一つだけのイアリング」最後の文字遊びのところなど、少年探偵団みたいで面白い(笑)犯行グループの宝石商を生かした手口もなかなかでした。富士ミスでも確か書かれていましたね。
二階堂黎人「素人カースケの赤毛連盟」奇妙な看板に目を惹かれ、デリフルに電話したら……。あんまり本にお金をかけない私からしたら、古書のよさが分かるようになるには多くの時間が必要になるみたいです。
野崎六助「鏡の中へ」これもいまいちピンとこなくて残念でした。
加納朋子「セイタイム・ネクストイヤー」推理小説などで謎が解けた後にさらに気持ち悪くなるものが多い中で、こういう話は貴重です。
太田忠司「名前を変える魔法」休日探偵っていい響きですよね。そんな主人公が子供のころから抱いていた謎に挑む話。これもさっきに引き続きいい話です。
黒田研二「あなたがほしい」なぜ? が問われる物語。首と両肘(から先)を切り落とされた被害者。刑事の話に口をはさむホテルマンもいい味出してます。
山田正紀「トワイライト・ジャズ・バンド」これに出てくる能天気なカップルってあこがれませんか(´・ω・)突然唄いだしたりしてくれると、みているこっちも楽しくなりますよね。
牧野修「悪い客」一言で友人関係が壊れてしまうことを怖がっている人って、主人公も私も含め多くの人が持っている不安だと思います。
我孫子武丸オールド・ボーイ」老年のホテルマンが自分の命の危険も顧みず、お客様の安全のために、銃声が聞こえた場所・犯人を問いただして行きます。彼が最後に見たものは?
田中啓文「ふたつのホテル」黄昏ホテルは昔からたっている由緒正しいものですが、ここまで時代を遡ることになるとは。壇ノ浦の戦いかよ!?
皆川博子「陽はまた昇る」最後も全容がいまいちつかめず。さらに精進するつもりです。
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ch@7 冬コミ当選!!! それにともないレイアウトも変更しました。