蒼空時雨

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綾崎隼蒼空時雨 (メディアワークス文庫)アスキーメディアワークス,2010
綾崎隼さんの作品感想


転がり込んできた女の子・沙矢に戸惑いつつも、一緒に暮らすことになる男の話。突然の出来事にものらりくらりな対応で、薄味の文章なので甘々な生活が描かれているわけでもなく、嘘がばれてからが気になるところ。
なにかしらの思惑はあるだろうと予想していましたが、嘘というジャブにストレートな思いをぶつけた結果、こう切り返されるとは思いませんでした。


同じアパートの楠木夫妻のコミカルな話を眺めつつ、夏音・風夏姉妹の話でしっとりしたイメージを持ったり。夏音の役者っぷりがすごいけど、それ以上に純な気持ちが心地よいです。手に届く程度の天才ぶりも魅力的。
一番感情移入したのは、沙矢を巡る男性陣のまぬけぶりです。もっとしっかりしておくれよ。なんで男ってこうも考え込んで頭を悩ませて、下らない結論を自分勝手に出しちゃうんでしょうね。
それにしても奇妙なお話でした。突き抜けた感じはしませんでしたが、四方八方に話が展開します。全編通して小雨が降り続いているような、音も動きもあるのに落ち着いたイメージでした。ちょうど表紙イラストみたいな。


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