胡蝶の失くし物―僕僕先生

仁木英之『胡蝶の失くし物―僕僕先生』新潮社,2009
シリーズ感想
仁木英之さんの作品感想
のらりくらりと歩き続ける王弁と僕僕の旅を描くシリーズ３巻目。今回は僕僕たちを狙う凄腕の殺し屋集団・胡蝶に所属する劉欣が登場します。
楽したがりな王弁が、発情するかしないかの話などで僕僕にやり込められるのは、いつものことながら見ていて気持ちいい。妖艶な姿に変身した僕僕を見て、あんにゅいな気持ちになってしまう王弁くんもかわいいですねー。

劉欣の親の話が出てくるなど、構成的にはオーソドックスなものですが、この安心感がこの物語には必要ですよね。夢の中で立場が入れ替わる話など、小話的なエピソードも素敵な彩りを添えています。
また女神様との交流を深るなど、前回から旅の一員になった薄妃も存在感を増しています。タイミング的には二回に分けられ、劉欣と交互に書かれているのもいい塩梅でした。次回も穏やかな旅路を期待しています。