黒方の鬼

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癒し6燃える4
渡瀬草一郎陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼 (メディアワークス文庫)アスキー・メディアワークス,2009
シリーズ感想
渡瀬草一郎さんの作品感想
陰陽寮で日々の暦を作る仕事に携わる光榮と怪の物語。自由奔放な光榮と冷静沈着でポーカーフェイスな兼良、馬が合わないながらもある意味似たもの同士でタッグを組んでる様子は、頬を緩められます。
物語としては、権力者である藤原実頼を狙った呪符を追う内に、実頼の過去などとも付き合っていくことになります。華がある文章ではないのですが、丹念に練られた物語の構成であり、話を心行くまで堪能できます。


家族の背景や政治状況に加えて、謎がスパイスとして織り込まれています。光榮や兼良を始め、下で働く吉平と貴年のコンビも魅力的です。特に天然たらしの術を使う吉平が、幼いながらも侮れず目が離せません。
赴くままに動きつつも気配りも忘れない光榮は、好感を持てる主人公なので安心できます。足りない部分は兼良がサポートしてますし。手堅いという印象が先立ってしまいますが、掛け値なしに面白いんですよね。
ゆっくりで構わないので続きが読みたいです。……あ〜でも、保胤先生も忘れないで欲しいです。よろしくお願い致します。