アリフレロ―キス・神話・Good by

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コミカル5シリアス5
中村九郎アリフレロ―キス・神話・Good by (集英社スーパーダッシュ文庫)集英社,2007
中村九郎さんの作品感想


のっけから残虐な描写が載せられており、神話なんて単語も絡んでくる風呂敷広めな物語。意味深な文章ばかりで煙に巻かれます。
大きな世界を舞台に、珍妙なキャラクターばかりが登場します。澄まし顔で「神話が降って来るの」という少女・小桜に、働いている姿を見られていると興奮する三井川などなど。
三井川が小桜に寿命を宣告されるところから物語は始まります。化け物に追い回されるなど、緊迫した場面でもそれほど緊張感を強いられない語り口。三井川の特異な性格も関係しているのかしらん。


みょうちきりんで、まったくもって読みにくい奇妙な言い回しの文章なので、なにかしら仕掛けられているだろうなとは予想ついていましたが、種明かしをされた後も難解さは変わらず。
ぽんぽんぽんと人は死んでいくし、おかしな人物は最初で打ち止めではなく次から次へとあふれ出てくるし、ビップの親玉たちが絡んでからは、この物語をどう読んでいけばいいのか分からなくなりました。
結構な確率でみんな傷ついているし、状況的には最悪なんだけれども、下ネタが挟み込まれるなど乾いた笑いを引き起こさせる部分もあるのが不思議な感触。


ぶっ飛んだキャラクターたちが、それぞれの思考に基づいてアクションを起こした結果の物語でした。千里眼よろしく全体を見通そうとすると、面白さが感じられないタイプの物語のように思われましたよ。


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