ミスマルカ興国物語 II

ミスマルカ興国物語 II  Amazon
ファンタジー4燃える3コミカル3
林トモアキミスマルカ興国物語 II (角川スニーカー文庫)角川グループパブリッシング,2008
シリーズ感想
林トモアキさんの作品感想
口八丁で戦争を回避しようとする王子・マヒロの物語。敵陣営の総攻撃も間近に迫る中、隣国の勇者たちにスポットが当たります。
圧倒的な力と人気を持ちながら国家間会議では疎んじられるリーゼルと、魔王に固執する隻眼隻腕のジェスの葛藤が味噌。ジェスをつきまとう酒飲みシスター・エミットも気になるところ。


鍵となる聖魔杯の行方を決めるのに、勇者ご一行を巻き込んだ壮絶な鬼ごっこが始まります。なにより、いちいち自分の命をかけてまで人をだまくらかそうと思考するマヒロが恐ろしいですよ。
新たに登場したキャラでは、読書好きの皇女・ユリカが素敵ですね。いつまでも愛でていられそうです。お仕置き用暗黒生命体を持ち出したお姿は、神々しく近寄りがたい貫禄がありました。
破天荒さでは一歩先を行っていたマヒロが、ピンチに変身することで話題をかっさらったかと思いきや、最後はうにで締められています。……お寿司のネタだとしたら、邪道なウィンナーよりうにですよね。


武力も持たずに敵陣に殴りこみはったりをかますのですが、煙に巻かれて読んでる私もどこまで真実なのか分からなくなりました。本当に体一つで特攻をかけるマヒロが脅威です。
前巻同様、最後の言葉の濁流はすごいです。不可能だと思っていることをやってのけたときほど、カタルシスを得られるものはありませんよ。ただ、千の言葉より一粒の乙女の涙かなとも思わないでもないのです。