転職は1億円損をする

転職は1億円損をする  Amazon
石渡領司『転職は1億円損をする (角川oneテーマ21)角川グループパブリッシング,2008
石渡領司さんの作品感想


転職は長い目で見れば損をするという話を説明した本。帯にも漫画がついているし、本文でも『エンゼルバンク』などの作品からの引用もあります。タイトルと併せてキャッチーで手にとりやすい仕様です。転職を繰り返して派遣社員となってしまった女性の話が最初にあげられていました。
専門スキルがあればともかく、早期退職者など若いだけでは商品価値がそれほどないらしいですね。大企業ならともかく、中小企業の場合は若い人に来てもらいたいと思ってるような気もしますが。
まあそうなると、大企業から中小に転職した場合、給料で損をするのは目に見えているから論旨と合致しているか。また給料だけではなく、年金や健康保険、退職金などの損失が大きいらしいです。それぞれに分けて、データとともに示されています。ちょっと計算大雑把過ぎると思いますが。


第一章より、第二章の人材ビジネスのカラクリ紹介のほうが面白かったかなー。人材紹介でも実に色んな種類があるんですね。最近ではインターネットを介した、広告型のようなものが幅を利かせているっぽいとのこと。
就職サイトの個人情報流出の件は興味を惹かれましたが、結局よく分からないままなので微妙。リクナビカフェが終わった経緯は知れましたけれども。エンを持ち上げて、学情にダメだしでしたが、エンよりも学情のほうが掲載料安いから難しい問題ですね。
転職ビジネスの最大の問題点は仕入れができない点や転職率と中退率の比較は気になりました。学校と会社という強引な引き合わせではあるものの、確かに異常さは目立ちますよね。私も退職ってこんなに多いものなのかと、会社に入ってから感じましたから。
社内転職の薦めはありだと思いました。部署変わると全然違いますし、会社は同じなので制度的なものは変化がなく安心な部分もありますよね。


少しキャッチーを目指しすぎて、中身が軽すぎたかもという印象。薄い本なのに引用が多いですし。確かに銀のアンカーは私も読んでるし好きだけれども、導入部はともかく後半も漫画頼みじゃあかんと思うんだ〜。
とはいえ、ページの下に就括関係の本の一言感想なども書いてあるから、他の本に手を出すきっかけとなればいいのかな。シュガー社員の話は読んでみたいし、清水さんが書かれた「スラスラ書けるビジネス文書」も読んでみたい。
あと、モデル条件別退職金を見て泣きそうになった。私の会社と平均値を比べたら1千万はすでに損してますやん。がびーん。