スプライトシュピーゲル I

スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee (1)  Amazon
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冲方丁スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee (1) (富士見ファンタジア文庫 136-8)富士見書房,2007
冲方丁さんの作品感想


機械化された体の鳳・乙・雛の少女三人が組んでいるMSS要撃小隊《炎の妖精》の活躍を描いた物語。優れた情報力と要撃―待ち伏せによりテロと戦います。
各話の最初に必ずある導入部のクイズで、受け答えを見ているだけでどんな人物なのか把握しやすいですね。登場人物が増えるごとに、パターンも変わってきて飽きがこない。deltazuluさんの日記を読んで手にとりました。


独特の文体が使われていますが、戦闘シーンでこの文体はとくに相性いいですね。静と動がはっきりしていて、動いている感じを想像しやすいです。一個一個の描写を切り取るみたいな、ストップモーション効果でもあるのでしょうか。また、ルビで音を表現していたり、大事な人名などは太字にするなど親切仕様です。
蹴り=ハンマーのごとく振るわれる黒いエナメル靴/可憐なかかと/翻るスカート/ちらりと覗く水色の下着」みたく、重要な部分にフォーカスされていくわけですよ。


いやそれにしても、雛が男だと主張して意地の張り合いになる場面は眼福眼福。涙目であんな格好されたら嗜虐心を煽られて、いじめたくなっても仕方ないよね〜。ドキドキするっしょ〜。
そうそう、「ご奉仕しますわよ――っ!!」「ドキドキするっしょーっ!!」「ボクをいじめないでぇー!」それぞれの決め言葉も癖になります。どれもこれも曰くありげなんですけどね。最後の話はやるせなさが凝縮されてますよ。一つだけある夢、辺りはなにも語れません。


連作短編形式で一巻目の今回は三人の過去も明かされ、敵対組織との立場も簡潔に描かれておりとても読みやすい構成になってます。文体が特殊ですが、その分読みやすいように配慮の行き届いた、丁寧な仕事がされていたように思います。読んでよかったー。


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1 カオス レギオン 聖戦魔軍篇  Amazon2 ウィザーズ・ブレイン  Amazon3 GUNSLINGER GIRL 1  Amazon
1、冲方さんの小説「カオス レギオン シリーズ」ジークの苦悩やノヴィアの成長を描いたファンタジー。→シリーズ感想
2、三枝零一さんの小説「ウィザーズ・ブレイン シリーズ」こちらの戦闘もまた違った熱さがあります。→シリーズ感想
3、相田裕さんの漫画「GUNSLINGER GIRL シリーズ」こちらも義体の少女たちが戦闘します。