空ノ鐘の響く惑星で 9

空ノ鐘の響く惑星で  9  Amazon
ファンタジー4燃える3恋愛3
渡瀬草一郎空ノ鐘の響く惑星で〈9〉 (電撃文庫)メディアワークス,2005
シリーズ感想
渡瀬草一郎さんの作品感想
一時的な平和が訪れたシリーズ9巻目。他国侵攻などはないものの、カシナートのもとに暗躍者が訪れたりと、不穏な空気はやはりありますね。襲撃そのものよりも、置かれた鉢植えが恐ろしいです……。
というわけで、表紙も飾っている仮面の男・メビウスがかなり薄気味悪い。カシナートだけでなく、遊び心を前面に押し出して敢えて危険な場所に飛び込み、相手を惑わせる言動ばかりしますからね。また、彼に付き従い、玄鳥使いのシズヤに憧れている少女・エイミーの物語も動き始めたっぽい。


誰に焦点を合わせて読めばいいのか困ってしまいます。真面目な好青年で異国の騎士・ハーミットも活躍してますね。彼の淡い恋心などは、清涼剤として最適。緊張感続く中でもその疲労感をリフレッシュさせてくれます。
こいこい話といえば、クラウスのすったもんだの話もありましたよ。仲を取り持つ苦労人・ベルナルフォンには本当に頭が下がります。しかしベルナルフォンには、どんどん苦労を取り込んでもらいたいものです。似合うから〜。
まあ、一番はフェリオを巡る話でしょうけども。上官のウィスタルから極秘命令を頼まれたライナスティかわいそうと思いますが、みんな気になるところですよね。周りの噂に影響された部分も大きいのでしょうが、特に女性二人の動きが激しいです。リセリナの弱気を叱責するウルクとか微笑ましい場面もあります。
二人とも幸せになって欲しいな〜と思っていた矢先のウルクどひゃ〜。あらあらまあまあ。今回の一連の流れが計算ずくだとしたら、どれだけ腹黒いだろうか……とも思ってしまいますが、私はウルク派なのでノー問題、むしろ超がんばれ。


舞踏会の場面は貴族たちの話術・策略を楽しんでいたりも。ウルクとお酒の話で吹っ飛んだけれどもさ。カラーイラストのドレス姿の女性陣を見て、ニヤニヤしちゃいましたがな。
そうそう、前巻でも素敵な活躍をしていた老将・バロッサには惚れ直しました。「――まだこの老骨がおりますぞ、刺客の方」なんとなく悪役っぽい物言いだし、イラストもそれを増加してるけれども、そこがいい。
また、ラバスダンとウィスタルの関係は重く響くな〜。実直な者同士起きた出来事なんでしょうが。政が絡むと、恋でさえも途端に複雑になるから困りものですよね。その辺りが魅力でもありますが。
政治・軍備方面も、恋愛方面も、また今回は動きの少なかった来訪者の動きも、楽しみがいっぱいです。