無明の闇

椹野道流『無明の闇 鬼籍通覧 2 (講談社X文庫 ホワイトハート)』講談社,2005
シリーズ感想
椹野道流さんの作品感想
現代法医学者の椹野さんが描く法医学教室を舞台にしたシリーズ２作目。ミチルさんのお茶目な武勇伝も明かされて、話は重いものの引っ張らない楽しい出だし。いや、キャラが明るくないと何気ない描写を読んでるだけで、へこみそうになりますからね。
で、今回はミチルさんの楽しくない過去が大きく関わってきます。ミチルさんの印象が前巻とはずいぶん変わってしまいましたよ。ひどい事件だとしか言いようがない。

崇に微妙な弱点とかあっていいアクセントですな。なんだかんだで幼馴染の筧を頼ってしまう辺り、二人の友情が見えていい感じ。お約束ははずしていません。
また、焦って自滅してしまったり、たまに気持ちが暴走してしまう崇とそれをたしなめるミチルの関係もよかったです。きっと崇を見守るミチルさんの眼差しは、過去の自分を見ているような気分でもあるんだろうなと邪推。
事件だけを追っていると陰惨という印象しか残らないのですが、飯食う人を眺めてるだけで気分上向きになってくるから不思議。食事風景って、ほのぼのとしていて癒されますね。そして、全てを見通している都筑かっこいいよ都筑。

今回は特にミステリーらしい展開はありませんでした。逆に純粋に過去を乗り越えようとするミチルとそんな先輩を手助けしたと願う崇の姿が鮮やかです。ラブ寄せもあるんかなー。
教室のほかのメンバーにもスポットが当たると面白そう。特に今回あまり出番がなかったねこちゃんを出して欲しいものだ。次巻も楽しみ。