天使はモップを持って

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ミステリ4シリアス4コミカル2 <ピックアップ7>
近藤史恵天使はモップを持って (文春文庫)文芸春秋,2006
近藤史恵さんの作品感想


オペレータールームに配属になった新入社員・大介とひょんなことから知り合いになった清掃員のキリコが会社で起こる謎を解き明かす話。deltazuluさんの感想を読んで手にとりました。
ミステリそのものより、男女の差だとかセクハラ、パワハラ……会社という組織の不可思議さが魅力的ですな。入れ込むように読むのではなく、客観的に読めるタイプの小説だったので、なおさら問題点が私の周りの環境とシンクロしたりも。
私もつい先日、お客様からの電話をとったら「苦情だからあなたみたいな女の子じゃなくて責任取れる人をだしてもらえます。ごめんなさいね」と言われたわけで。悔しいったらありゃしない。


大介も巻き込まれてみんなでダイエットに挑む「ダイエット狂想曲」は面白かったなー。でも、読み終わると女性って男性がどれだけ成長しても追いつけないようなものを持っているように思えてくるわけで。最後のお菓子の例え話は印象深かったです。
ロッカールームのひよこ」と「桃色のパンダ」はどちらもかわいい章タイトルなのに、ぞっとしました。確かにかわいい印象を持つタイトルだけれども、読み終わるとそのあり得ない単語の組み合わせに嫌なものを感じちゃいます。
まあでも、キリコがなんでも分かっているような気になってるところは、もうちょっと慎重になってーと心配になりました。
最後の短編は、どうしようもなく気が重たくなる話。大介が富永先輩に気持ちを吐露する場面は特にね。


善意から厭らしい行動をとる人たちが出てくるのですが、その人たちをモップで綺麗にお掃除したくなりますね。
まあ、汚す人は毎回決まっていて逆に汚す人は掃除しないから迷惑なだけなんだけれども。注意できる人だったらいいけど、そういう人に限って偉い人だったりするのです。偉い人にはそれがわからんのですよ。


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