夏のこどもたち

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シリアス6癒し4
川島誠夏のこどもたち (角川文庫)角川書店,2005
川島誠さんの作品感想


川島さんの短編集。4編が収録されています。
笑われたい」くだらないことをして無理やりにでも笑いをとろうとするケンジを、わりと冷静に眺めている主人公の話。フリスロー勝負のときが光ってた気がする。
職人のような一場面一場面の切り取りの妙なんでしょうね〜。サッカーがテーマの「インステップ」だとそれが顕著。長編だったらもう少しゆっくりと熱を上げていくんだろうけど、ぱっと始まってはっと思っているうちにぱっと終わります。
続いての「バトン・パス」ではほのかな恋心未満の憧れのようなものも。ひょうひょうとした性格の主人公が、川島さんらしいなと思うわけでして。


以上三編は本当に短いけれども、最後の「夏のこどもたち」は中編。勉強はかなりできるけれども、左目が義眼である中学生・元の話。校則委員会にまつわる出来事やガールフレンドとのやりとりが描かれています。
選択するときに根拠がないと動けないとかつらつら述べておきながら、双眼鏡でなに覗いてやがるんですか。観察日記を始め突飛な行動する子供やな〜。いや、子供って突飛な行動をしてなんぼですかね。
性欲関係の記述をみると子供っぽく感じられないし、出たとこ勝負の計画性のなさは大人っぽくないし、なんともどっちつかずな男の子です。こんな二つの矛盾を抱えてる姿は読んでて不安になってきますが、淡々とした視点なのでいい感じに緩和されてるかも。
少年時代を遠くで眺めていたい、突き放されたい人にはおすすめです。