ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ

滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)』角川書店,2004
滝本竜彦さんの作品感想

陽気に暮らしているものの、未来に不安を感じている陽介。そんな彼が、不死身のチェンソー男と戦っている女子高生・絵理を目撃したことから一緒に戦おうとする話です。
自意識過剰というかなんというか、痛々しい陽介の視点と言葉で話は進んでいきます。自分の能力を悟り悲観しつつも、陽気にしていなきゃ暮らしていけないというアイロニーがなんとも。

下宿のお姉さんが酔ったときの言葉が印象的。深夜、お姉さんタイプの人に自虐的な説教をされるという場面がよかったのですよ。公園で絵理ちゃんを笑わせようとする所も、よくわからないんだけれども胃に迫ってくる感じでした。このエネルギーはなんでしょう。
賢ぶっているようで小心者な陽介が憎めなくていいですね。物語全体の流れというよりも、一つ一つのエピソードが大変面白かったです。あるあるとかないないとか、心の中で突っ込んでいましたよ。

この小説が好きな人にお勧めする３

１、滝本さんの小説『ＮＨＫにようこそ！』引きこもりと彼を助けようとする少女の話。
２、森見登美彦さんの小説『太陽の塔』アホ過ぎる失恋男の話。→感想
３、ゲーム『Kanon』とりあえず舞ルートでもやってください。→アニメ感想