クリスマスにさようなら

クリスマスにさようなら  Amazon
癒し4コミカル3ファンタジー3
浅暮三文クリスマスにさようなら徳間書店,2007
浅暮三文さんの作品感想



クリスマスにさようならを告げる四体のティディーベアの物語。
テディベアが唯一の話相手のマルチェロの話「怪盗マルチェロ」彼氏と別れた悲しみからテディベアを購入したリンダの話「ブレックファースト・スペシャ」腕は確かだが運に恵まれなかったフィドルの演奏者ブルースの話「岸辺はるかを漂いて」なんとか眠ろうと眠りの砂を持つという砂男を探しに行く姉妹の話「ミスター・サンドマン


怪盗マルチェロの話が一番ぐっときたかな。コンビが解消にならざるを得なかった場面とか、切なくて本を投げ出しそうになりましたよ。
なかなか決断がつかないモヤモヤに心配したり、フィドルへの鬼気迫る思いに圧倒されたり、ほほえましい冒険にニヤニヤしたり……テディベアが語る話はどれも面白く、だけど最後にお別れが待っていると思うと寂しくもあり。
でも、お別れを告げるということは持ち主との間に、所有物とかいう関係を越えたなんらかの絆があったってことだよね。そう思うと少し救われました。クリスマスなんだから寂しすぎる話は嫌ですもんね。
周りの人へクリスマスに手渡しでプレゼントしたくなるような、そんなかわいらしい物語でした。


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